北キャンレポート

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気になる数字をチェック! 第10回 『直径0.1ナノメートル』

日本は世界でも珍しい「水」に恵まれた国です。山奥に行けば清流があり、水をふんだんに使った水田が広がる景色も地方に行けば珍しくありません。けれども、世界には水不足に苦しんでいる国や地域がたくさんあります。中東の砂漠地帯だけでなく、アメリカやオーストラリアなどの先進国でも、頻繁に水不足が起こっています。日本でも、一部の地域で渇水がしばしば起こります。そこで現在、一度使用された水を「再生水」として再利用することが注目されています。

例えば、宇宙飛行士は尿などの排泄物からつくられた「再生水」を飲んで生活しています。 国際宇宙ステーションでは水が非常に貴重なため、一度排泄された「水」が「再生水」として何度も使い回されているのです。地上でも同じように、排水からつくられた再生水を利用する動きが、今広まっています。

 

reverse osmosis membrane

【RO膜ろ過のイメージ】

図の矢印の向きに高圧を加えることで、ろ過を行います。また膜による水処理において最も困る問題は、不純物などによる膜の目詰まりです。原水を膜に対して平行に高速で流すことで、目詰まりが起こりにくくなるよう工夫されています。

 

再生水づくりには最先端のテクノロジーが詰まっています。特に「RO膜(逆浸透膜:Reverse Osmosis Membrane)」という、高性能な膜を使った処理法が大きな力を発揮しています。このRO膜とは直径0.1nm(ナノメートル)という非常に小さな穴が無数に空いている膜のことです。「ろ紙」を丈夫にしたものとイメージしてください。この膜に水を通しろ過することで、水の中の不純物が除去され水が驚くほどきれいになります。細菌の大きさは大体1000~5000nmで、ウイルスであると20~1000nmです。RO膜の穴よりもはるかに大きいため、これらは完全に取り除かれます。また水中に溶けている有機物や金属イオンといった微小な有害物質も、完全に除去できることが知られています。そのため、非常にきれいな水が出来上がるのです。

現在、アフリカのナミビアでは、実際に再生水が飲用水として利用されています。また、自国の中に水源を持っていないシンガポールでは、RO膜による処理も利用して、「ニューウォーター」という再生水がつくられています。主に工業用水として使われているのですが、飲用水としてペットボトルに詰められて販売されています。日本でもインターネットを通して購入できるそうですので、興味のある方はぜひ一度お試しを。

(上海一輝・2014年度北海道大学CoSTEP本科生)

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