北キャンレポート

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気になる数字をチェック! 第14回 『27,682,574,402匹』

ある年の正月、ねずみの夫婦がやって来ました。ねずみの夫婦は12匹の子を生み、親子合わせて14匹で暮らすようになりました。さて2月になると、子どもたちも12匹の子を生むようになり、親、子、孫を合わせて98匹になりました。にぎやかですね。
同じように月に1度ずつ子どもが生まれ、1年が経ちました。その年の大晦日、このねずみの家族は、276億8257万4402匹の大所帯になっていましたとさ。めでたしめでたし…?
このお話は、江戸時代のベストセラー『塵劫記(じんこうき)』に書かれていた、「ねずみ算」という数学の問題です。『塵劫記』は数学の教科書。このような面白い設定と豊富な挿絵で、人々に広く愛されていました。

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『塵劫記』のねずみ算のページ(国立国会図書館)

 

さて、この本には 、2匹のねずみが1年で27,682,574,402匹に増える、という答えは書いてありますが、その解き方の解説はありません。そこで実際に、この問題を解いてみましょう 。
1組のつがいから生まれてくる12匹の子は、いつもオス・メスが半々の、6匹ずつと考えて計算してみます。それぞれの月のはじめに、子を生めるつがいはそれぞれ何組いるでしょうか。1月はねずみが2匹で1組、次の2月は、前月に生まれた子ども同士のつがい6組に、元の親を合わせて7組です。
同様に計算すると、3月のはじめには7組の親から、それぞれ6組のつがい(12匹)が生まれています。それに親の7組を加えて、つがいは49組いることになります。

(7×6)+7=49

その次の4月は、3月にいた49組のつがい、すべてから6組ずつ子が生まれていますから、これまでいた49組と合わせて343組((49×6)+49=343)のつがい ができます。

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こうしてみると、毎月はじめにいるつがいの数は(前の月にいたつがいの数)×7 になっていることが分かります。実はつがいの数は、ひと月ごとに7倍になっていくのです。
さてさて大晦日、12月31日にいるつがいの数はどうなるでしょうか? 上図のとおり、12月はじめにいたつがいの数に、さらに7をかけた13,841,287,201組。ねずみの総数は、そのちょうどその2倍で、27,682,574,402匹になります。ようやく、大晦日にいるねずみの数にたどり着けました。累乗の形を使えば、nヶ月目の末にいるねずみの数は 7のn乗×2匹と書けます。この方法なら、2年先、10年先のねずみの数も知ることができますね!
『塵劫記』にはこのほかにも、からす算、油分け算、絹盗人算といった面白いタイトルで文章題が多く出題されています。いずれも答えは書いてあるものの、途中計算は書かれていません。江戸の人々と計算勝負をする気分で解いてみませんか?

(神田あかり・2014年度北海道大学CoSTEP本科生)

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